もし安倍首相が桃太郎を読んだら

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もし大藪春彦が桃太郎を書いたら - 男の魂に火をつけろ! もし大藪春彦が桃太郎を書いたら - 男の魂に火をつけろ!
もし平山夢明が桃太郎を書いたら - 男の魂に火をつけろ! もし平山夢明が桃太郎を書いたら - 男の魂に火をつけろ!
もし夢野久作が桃太郎を書いたら - 男の魂に火をつけろ! もし夢野久作が桃太郎を書いたら - 男の魂に火をつけろ!
もし横溝正史が桃太郎を書いたら - 男の魂に火をつけろ! もし横溝正史が桃太郎を書いたら - 男の魂に火をつけろ!
もし小池一夫が桃太郎を書いたら - 男の魂に火をつけろ! もし小池一夫が桃太郎を書いたら - 男の魂に火をつけろ!
もし桃太郎が水曜どうでしょうだったら - 男の魂に火をつけろ! もし桃太郎が水曜どうでしょうだったら - 男の魂に火をつけろ!
もし桃太郎がなんJ民だらけだったら - 男の魂に火をつけろ! もし桃太郎がなんJ民だらけだったら - 男の魂に火をつけろ!
もし梶原一騎が桃太郎を書いたら - 男の魂に火をつけろ! もし梶原一騎が桃太郎を書いたら - 男の魂に火をつけろ!
もし伊藤政則が桃太郎を書いたら - 男の魂に火をつけろ! もし伊藤政則が桃太郎を書いたら - 男の魂に火をつけろ!
もし淀川長治が桃太郎を解説したら - 男の魂に火をつけろ! もし淀川長治が桃太郎を解説したら - 男の魂に火をつけろ!
もし鈴木涼美が桃太郎を書いたら - 男の魂に火をつけろ! もし鈴木涼美が桃太郎を書いたら - 男の魂に火をつけろ!
もしタカアンドトシが桃太郎をやったら - 男の魂に火をつけろ! もしタカアンドトシが桃太郎をやったら - 男の魂に火をつけろ!
もし全盛期の古館伊知郎が桃太郎を実況したら - 男の魂に火をつけろ! もし全盛期の古館伊知郎が桃太郎を実況したら - 男の魂に火をつけろ!
もし吉田豪が桃太郎一行にインタビューしたら - 男の魂に火をつけろ! もし吉田豪が桃太郎一行にインタビューしたら - 男の魂に火をつけろ!
もし富野由悠季が桃太郎を書いたら - 男の魂に火をつけろ! もし富野由悠季が桃太郎を書いたら - 男の魂に火をつけろ!
もし頭脳警察が桃太郎を歌ったら - 男の魂に火をつけろ! もし頭脳警察が桃太郎を歌ったら - 男の魂に火をつけろ!
もし夢枕獏が桃太郎を書いたら - 男の魂に火をつけろ! もし夢枕獏が桃太郎を書いたら - 男の魂に火をつけろ!

もし安倍首相が桃太郎を読んだら

昔々あるところに、おじいさんとおばあさん、おじいさんとおばあさんがですね。住んでいたと、わたくしはそのように、うかがっております。


おじいさんが山へ、山へですね、柴刈りに出かけまして、おばあさんは川へ洗濯に、洗濯に出かけました。わが国では、伝統的にこのような家族観を持っており、現代のグローバル社会でも、その価値を見失ってはならない、のであります。


おばあさんが川で洗濯を、洗濯をですね、しておりますと、川上から大きな桃が、桃がですね、ドンブラコ、ドンブラコと音を立てて流れてきたのであります。あたかもそれは、ヤンキー・スタジアムにメタリカの"Enter Sandman"が鳴り響くがごとくです。おばあさんは川へ飛び込んで桃を拾いましたが、川の流れは完全に、完全にコントロールされておりますので、飛び込むことによっておばあさんのリスクが増大するという指摘は、これはまったく当たりません。


おばあさんが桃を、桃をですね、持ち帰りまして、おじいさんが切ってみたところ、桃の中から男の赤ちゃんが生まれました。少子高齢化少子高齢化が問題となっている昨今ですが、われわれ政府は、このように出産や子育てのしやすい社会、すべての女性が輝くことのできる社会を作り、女性を、女性をですね、活用していくのであります。


桃太郎と名付けられた男の子は、すくすくと育ちまして、やがて自ら志願して、鬼ヶ島での平和維持活動に参加いたしました。これはあくまで彼の自由な、自由意志に基づくものでありまして、一部マスコミがいうような、狭義の強制性、狭義の強制性はまったく認められないものであります。ましてや、徴兵制は憲法によって禁止されておりますので、わたくしはまったく、まったく考えていないものであります。


鬼ヶ島での平和維持活動が、憲法で禁じられている武力行使にあたるという、一部の憲法学者の方々の意見はうかがっておりますが、国際法学者の方々は、合憲だという人が多いのではないでしょうか。それに、武器使用は国際法で認められた権利でありまして、桃太郎の戦友であります犬が、鬼に噛みつくのも、猿が鬼をひっかくのも、キジが、えー、キジがですね、鬼の目をつつくのも、憲法ではこれらの行為は禁じられておりません。これは、砂川判決に鑑みましても、明白に、明白にですね、明らかであります。


我が軍が、いや桃太郎が鬼ヶ島へ派遣される法的根拠となります、集団的自衛権と申しますのは、みなさまにわかりやすくたとえて申しますとですね、ここに「鬼ヶ島家」と「桃太郎家」という家が、道路を隔てて建っております(ジオラマを置く)。そして、鬼ヶ島の家が火事で燃えております(生肉を立てる)。このとき、桃太郎は鬼ヶ島で消火することはできません。しかし、放っておいたら、鬼ヶ島の火が桃太郎の家まで燃え移ってきます。そうならないように、鬼ヶ島で消火をしている鬼たちに、桃太郎は消火器を届けることができる。これが、これがですね、わが国の憲法で禁じられていない、集団的自衛権なのであります。これは正しいと思いますよ、わたしは総理大臣なんですから。



やくみつる:「鬼はむしろ放火する側じゃないんですか? 消火じゃなくて放火魔の手伝いをさせられることになるんじゃないですか?」)


そのようなことは、まったくありません。これは正しいと思いますよ、わたしは総理大臣なんですから。


(犬山紙子:「メリットばかりおっしゃっていますけど、総理が考えるデメリットを聞かせてください」)


あえて申しますならば、きび団子を作る任務が増えるというのがデメリット、デメリットといえるかもしれません。

参考:[安倍生肉総理大臣]安倍首相と火事と生肉イエーイ - Togetterまとめ [安倍生肉総理大臣]安倍首相と火事と生肉イエーイ - Togetterまとめ