講道館と七帝柔道

金メダリストの婦女暴行、指導者による女子選手へのセクハラ、助成金の不正流用など不祥事が続いた全柔連。この度、上村春樹会長はじめ23人の理事が辞職し、新体制が発足しました。


http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20130821-OHT1T00121.htm

【柔道】全柔連・宗岡新会長「あえて火中のクリを拾う」

 全日本柔道連盟全柔連)は21日、東京都文京区の講道館で臨時の理事会、評議員会を開き、新日鉄住金宗岡正二会長兼最高経営責任者(67)の4代目会長就任を決めた。新体制の27理事のうち不祥事が発覚する前にいた理事は7人。初めて外部から迎えたトップが人心一新された組織を率い、再建を始めた。

 任期が来年6月までの宗岡会長は記者会見で「あえて火中のクリを拾う決意」と難局に挑む覚悟を述べ「悩んだが最後は柔道で鍛えられ、育てられた者として恩返しの気持ち。透明性、説明責任のある組織に変えていきたい」と意欲を示した。競技創始者の故嘉納治五郎氏が説いた精神について「守り抜いていくもの。原点に戻ってやることが大事」と強調した。会長職は非常勤で務める。

 評議員会後の新理事会で互選によって宗岡会長、元大阪府警本部長でトヨタ自動車顧問の近石康宏専務理事(64)、ロサンゼルス五輪金メダリストの山下泰裕副会長(56)、宇野博昌事務局長(63)による新執行部が誕生した。宗岡会長、近石専務理事、宇野事務局長は東大柔道部出身。

 上村春樹会長(62)ら23人の理事、3人の監事の辞任も正式に決まり、2009年4月から約4年4か月続いた上村体制が幕を閉じた。山下氏ら7理事と監事1人は再任、不祥事発覚後の6月に就いた理事6人は継続。3人の監事に、女子日本代表による指導陣の暴力問題告発を支えた山口香氏(48)が名を連ねた。

 8月中に内閣府へ出す組織改革案などの報告書の骨子をまとめた。日本スポーツ振興センター(JSC)に返還する助成金は辞任した理事、監事計26人で約1680万円を負担し、残りは関わった強化委員らが弁済すると決めた。また評議員の定数を現在の50〜70人から、30〜60人に減らす。評議員会では評議員の総辞職も提案されたが、新執行部に一任された。

これまで、全柔連の会長は嘉納治五郎の子孫と、金メダリストが務めてきました。今回の新会長は、競技者として実績がある人ではなく、実業界から招かれた人物です。
この人事に疑問を持つ人もいるかもしれませんが、まぁご覧ください、この人相を。

この耳を見れば、相当な人だってすぐわかりますよね。


ちなみに、山下泰裕副会長の耳は潰れていません。寝技をやっても潰れない人も、いることはいるんです。

背負い続ける力(新潮新書)

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宗岡会長は東大柔道部で主将を務めた人物です。北海道大学東北大学東京大学名古屋大学京都大学大阪大学九州大学旧帝大には、戦前の高専柔道の流れを汲んだ独自の「七帝柔道」があります。勝敗は一本勝ちのみで「有効」「効果」のポイントはなく、ひとたび寝技に入ったらこう着しても「待て」がかかることなく、決着がつくまで延々と寝技の攻防が続く、独自のルール。このため、旧帝大の柔道部では寝技を徹底的に練習します。宗岡会長のみごとな餃子耳も、経歴を考えれば納得です。
今回の人事は、初めて実業界から会長が招かれたというのみならず、講道館とは一線を画する高専柔道出身の人物が全柔連の会長におさまったということですから、これはものすごく画期的なことなんですよ。武藤敬司全日本プロレスの社長になったとき以来のサプライズです。

全日本プロレス代表取締役社長武藤敬司 (扶桑社SPA!文庫)

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(今となっては物悲しい本である)


かねてから講道館史観を批判し、七帝柔道のすごさをアピールしてきた増田俊也さんは、この人事をどう評価するのかなぁ。

木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか

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