BLACK SABBATH大好き男に「どのアルバムが好き?」と訊ねられたとき

あ、まず前提として、
貴女がSABBATH大好き男を夢中にさせることが、
はたして貴女を幸福にするかどうか、それはまた別問題だけれど。
とはいえ、SABBATH大好き男たちは玉石混交ながら、
IT系の超かしこい男なども多く、
したがって、釣り師たる女たちにとっては、
なかなかあなどれない釣り場です。


では、SABBATH男に「どのアルバムが好き?」と訊ねられたとき、
貴女は、どう答えれば理想的でしょう?
まず最初に、その男が"Paranoid"のようなタイプの楽曲と
あとは"Iron man"、そして(ギターを完コピするほどではないけれど)ランディ・ローズが大好きな、
そんなタイプの場合は、
貴女はかれの目を見て、微笑みとともに質問など無視して、こう言いましょう、
「わたしが、アルバム完全再現してあげる♪」
これこそまさに必殺の答えです。
そこでSABBATH大好き男が、えへへ、とやにさがったならば、
貴女は、ひそかに、"War pigs"あたりを
ひそかに練習しておきましょう。これで成功まちがいなしです。

パラノイド

パラノイド


しかし、ここでは、もう少しハイブロウな(?)いわゆるSABBATH好きの男の
落とし方をお伝えしましょう。
この場合、貴女は、こう答えましょう、
「わたしは、"Neon Knights"が好き。
『HEAVEN AND HELL』はよく聞くの、ロニーはいつも最高だし、
"Die young"も、大好き♪」
もしも貴女がそう答えたならば、
その瞬間、SABBATH大好き男の目はきらりと輝き、
かれの貴女への恋心は、
20%増量になるでしょう。


なぜって、『HEAVEN AND HELL』は、
ちょっぴりお洒落な正統派のヘヴィメタルで、
ロニー・ジェイムズ・ディオの喉から艶めかしい光が差し込んで、
楽曲は少ないながらも、そこがまた
ちょっぴりイギリスの香気が漂うみたいなふんいきをかもしだしていて。
しかもロニーがDIOでふるまっているサウンドは、
様式美ヘヴィメタルのスタンダードを、
質高くふるまっていて、なおかつ、
ヴィヴィアン・キャンベルを(DEF LEPPARDに)売りこんだ功績もあって。
したがって『HEAVEN AND HELL』こそは、
本来なんの接点もないまったく縁もゆかりもない別々の世界に生きている、
シャロン・オズボーン似の綺麗系OLと、玉もあれば石も混じっている、そんなSABBATH大好き男たちが、
この世界で唯一(いいえ、系列バンドのDIO、RAINBOWと並んで唯三)遭遇しうる場所です。

ヘヴン&ヘル

ヘヴン&ヘル



では、参考までに、危険な回答を挙げておきましょう。
SABBATH大好き男に「どのアルバムが好き?」と訊ねられたとき、
貴女がこう答えたとしましょう、
「『SEVENTH STAR』が好き♪ 週3回は、グレン・ヒューズの声を堪能するの。」

その瞬間、サバス大好き男の貴女への恋心は消えます、
なるほど『SEVENTH STAR』は、人気のグレン・ヒューズがボーカル、
楽曲は散漫ながら、ま、無難にまとめてあるものの、
しかし、「BLACK SABBATH featuring TONY IOMMI」とかなんとか意味不明なクレジットを吹聴し、
本来はトニー・アイオミのソロアルバムだったのを無理矢理BLACK SABBATH名義にした罪がありますから、SABBATH大好き男にとっては天敵なんです。
また、もしも貴女が「『BORN AGAIN』が大好き♪ あたし愛聴のイアン・ギランのアルバムが、うちに7枚あるよ♪」
と答えたとしても、同様の効果をもたらすでしょう、なぜって、イアン・ギランは、1970年代にはHR/HM屈指のボーカリストだったものの、
しかし1980年代そうそうから、いやはやなんともなシンガーに転落し、
いまや、あのアルバムでは、再結成DEEP PURPLEの魅力に遥かに及びません。
パーフェクト・ストレンジャーズ

パーフェクト・ストレンジャーズ


またもしもたとえあなたがトニー・マーティンが大好きで、
「わたし、マーティン在籍時が好き、『CROSS PURPOSES』も聞くけど、
最高に好きなのは『HEADRESS CROSS』♪ コージー・パウエルのドラムも、楽曲もすっごく完成度が高いの。」
と、答えたとしたらどうでしょう?
なるほど、貴女の趣味は高く、
たしかにマーティン在籍時のアルバムは、音像が heavy であるのみならず、
楽曲も最高にいいんですけれど、
しかし、貴女の答えを聞いて、SABBATH大好き男はきっとおもうでしょう、
(なんだよ、廃盤マニアの女だな、カネかかりそう)って。

Headless Cross

Headless Cross


貴女が、オジー・オズボーンが大好きで、名盤の名を挙げるにしても、
たとえば、『MASTER OF REALITY』ならば安心でしょう、

マスター・オブ・リアリティ

マスター・オブ・リアリティ

なぜならば、『MASTER OF REALITY』は、ふつうのOLにもマニアにもともに愛されるめずらしいアルバムで、
貴女がその名前を挙げても必ずしも、あなたがサバおた宣言をしているとは受け取られないでしょう。
しかし、たとえば、ビル・ワードが誇るソウルフルな歌声をフィーチュアした名盤、『TECHNICAL ECSTACY』にせよ、
ジー一時脱退後でありながらすばらしくキャッチーな『NEVER SAY DIE!』にせよ、
元祖スラッシュ・メタルな"Symptom of the universe"が素敵においしい『SABOTAGE』にせよ、
新たに導入されたシンセがおいしい『SABBATH BLOODY SABBATH』にせよ、
そういうアルバムの名前をいきなり挙げるのは、ちょっぴり微妙。
ましてや貴女が、「『LIVE AT LAST』が大好き♪ わたし、もうほとんど全曲、コピーしちゃった♪」
と答えたならば、どうでしょう?
Live at Last

Live at Last

これはかなり博打な答え方で、
なるほど、『LIVE AT LAST』は、1973年の音源を収録したライヴ・アルバムの超絶名盤ゆえ、
あなたがそう答えた瞬間、SABBATH大好き男がいきなり超笑顔になって、
鼻の下がだら〜んと伸びちゃう可能性もあるにはありますが、
しかし、逆に、(なんだよ、この女、SABBATHおたくかよ)とおもわれて、どん引きされる可能性もまた大です、
なぜって、必ずしもSABBATH大好き男がSABBATH大好き女を好きになるとは、限らないですから。
しかも、この答えには、もうひとつ問題があって、
男たちは、女を導き高みへ引き上げてあげることが大好きゆえ、
もしも貴女が、「『DEHUMANIZER』が大好き♪」なんて言ってしまうと、
そこにはもはや、男が貴女をサバス教育する余地がまったく残されていません、
したがって貴女のその答えは、
BLACK SABBATH大好き男の貴女への夢を潰してしまうことに他なりません。
Dehumanizer: Special Edition

Dehumanizer: Special Edition

ま、ざっとそんな感じです、貴女の目には男たちはバカでスケベで鈍感に見えるでしょうが、
しかし、ああ見せて、男は男で繊細で、傷つきやすく、女に夢を持っています、
貴女の答え方ひとつで、男の貴女への夢は大きくふくらみもすれば、
一瞬で、しぼんでしまいもするでしょう。



では、スキットを繰り返しましょう。


「わたしは、"NEON KNIGHTS"が好き。
『HEAVEN AND HELL』はよく聞くの、ロニーはいつも最高だし、
"DIE YOUNG"も、大好き♪」
そして、その瞬間、SABBATH大好き男の目がらんらんと輝いたなら、
貴女はこう重ねましょう、
「それからね、いま、わたしが行ってみたいライヴは、
幕張のOzzfest、素敵なフェスって噂を聞いたから。
あなたのお暇なときがあったら、わたしを幕張メッセへ連れてって♪」
これでもう完璧です。


そうなったらこっちのもの、
日程2日目には、1杯300円のお水をばっちり決めて、黒いリストバンドをつけて、
オジー・オズボーンか、人間椅子のプリントされたTシャツを着てゆきましょう。
その日から、SABBATH大好き男は貴女の虜になるでしょう。
では、釣り師としての貴女の、愛の幸運と幸福をお祈りします!


ぼくと女友達とBLACK SABBATH、ときどきオジー・オズボーン


元ネタhttp://tabelog.com/tokyo/A1301/A130101/13002457/dtlrvwlst/3464106/
改変ネタhttp://anond.hatelabo.jp/20130509010206
改変ネタhttp://d.hatena.ne.jp/tokoroten999/20130510/1368113084
改変ネタhttp://azanaerunawano5to4.hatenablog.com/entry/2013/05/10/155621
改変した感想:元ネタの人と、『めしばな刑事タチバナ』の「カレーの早川くん」に対決してほしい。彼ぐらいでないと、この狂気には対抗できない。