格闘技世界一決定戦
安倍晋三新内閣は、サティアン発言の石原伸晃を原発担当大臣にしたり、疑似科学を信奉する下村博文を文部科学大臣にしたり、わざとやってるとしか思えないような人事が見受けられますが、副大臣にもなかなかすごい人がいるようです。
http://www.asahi.com/politics/update/1228/TKY201212280295.html
「いじめ防止に武道家の先生を」 谷川文科副大臣が持論
いじめ防止には、怖い武道家の先生が必要――。27日に文部科学副大臣に就いた谷川弥一衆院議員が、最初の記者会見でそんな持論を展開した。
谷川氏は「いじめたら怒られる。それを理解してもらうには怖い先生が学校にいないとダメ」と述べ、「武道家。一番いいのはボクシングだと思うが、空手、剣道、柔道、プロレスも入るかな」と格闘技を列挙。「いないなら警察OBを雇う」と続けた。
党内では賛同が得られていないと前置きしつつ、「なりふり構わずやるべきだ。いまから関係者の説得に入ります」とも。あまりの熱弁に、政務官に就任して同席していた義家弘介衆院議員が苦笑いしていた。
ボクシング界の問題
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1993年にアルゼンチンで行われたWBA世界スーパーライト級タイトルマッチ。人気の高いチャンピオン、フアン・マルチン・コッジが痛烈なダウンを喫し、ノックアウト状態になったもののレフェリーが不正な試合進行(ストップすべきタイミングでブレイクを命じ、チャンピオンを休ませる。ラウンドも30秒早く終わらせる)を行い、チャンピオンを勝たせたというもの。さすがにレフェリーは追放されましたが、こういうことが横行してしまうのが世界のボクシングです。
また、一流選手でも、不祥事を起こす人が少なくありません。マイク・タイソンが婦女暴行で刑務所に入ったのは有名ですが、当代きってのスターであるフロイド・メイウェザーJr.も暴力事件で逮捕されて実刑判決を受けましたし、メキシコの英雄であるフリオ・セサール・チャベスJr.も飲酒運転で逮捕されたり、試合後の薬物検査で大麻の陽性反応が出たりしています。引退したボクサーが身を持ち崩すことも少なくなく、名チャンピオンだった渡辺二郎はゴルフしただけで逮捕されるほどの札付きやくざになりましたし、ヘクター・カマチョは車に乗っているところを銃撃され死亡しました。エドウィン・バレロは妻を殺害して自殺しましたし、アルツロ・ガッティは不審死を遂げて妻が殺人容疑で逮捕(のちに証拠不十分で釈放)されています。
ボクシング史上最高のスターのひとりであり、現在はプロモーターとして権勢をふるうオスカー・デラ・ホーヤも、私生活では愛人と変態プレイに興じる写真を流出させられるなど、スキャンダルにまみれています。
ボクシングが教育にふさわしいかどうか、再考してもらいたいものです。
空手界の問題
正道会館の創始者である石井和義が、2003年に法人税法違反で逮捕され、実刑判決を受けて刑務所に入っていたことは有名です。
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また、極真会館の関係者は、大山倍達総裁が死去すると団結心を失って分裂を繰り返し、お互いに中傷合戦を繰り広げています。
武道は礼に始まって礼に終わるといわれますが、高弟たちがあのように悪口を言い合っていては説得力がありません。
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極真系以外でも、今月の1日には、成蹊大学空手部の主将が、指導方針を巡って口論になったOB(77歳)をハイキック一発で死亡させる事件がありました。
http://www.nikkansports.com/general/news/p-gn-tp0-20121209-1057558.html
空手が教育にふさわしいかどうか、再考してもらいたいものです。
剣道界の問題
今年の7月、2008年の全日本剣道選手権王者である神奈川県警の警察官が、ネット掲示板で知り合った女子高生に裸の画像を送らせ、児童ポルノ法違反で逮捕される事件が発生しています。
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2012/07/19/kiji/K20120719003712690.html
容疑者の巡査部長は起訴猶予で釈放され、停職3ヶ月の処分を受けましたが、さすがに警察にはいられないらしく依願退職しています。
1999年には、武道の名門である国士舘大学剣道部にて、4年生の部員が1年生に殴る蹴るの暴行を加えて死亡させ、剣道部が廃部になったこともありました。
(2004年に復活)
剣道が教育にふさわしいかどうか、再考してもらいたいものです。
柔道界の問題
オリンピック2連覇を遂げた金メダリストの内柴正人が、コーチを務めていた女子大柔道部の教え子に対する準強姦容疑で逮捕され、現在公判中なのは皆さんご存知のことと思います。
内柴は今回の被害者以外にも複数の教え子と関係を持っていたことが発覚し、法廷でもわいせつな言葉を連発するなど、判決はまだ出ていませんが品性のなさを露呈しています。
中学体育で武道が必修化されましたが、全国の学校で柔道により死亡したり、重篤な障害を負う生徒は少なくありません。
【全国柔道事故被害者の会】
http://judojiko.net/
1983年から2010年までに114名の生徒が亡くなっており、中には指導者による暴行としか思えない事例もあります。
また、1989年に発生した女子高生コンクリート詰め殺人事件は、犯罪史上でも指折りの残酷かつ異常な事件ですが、この事件の主犯格である元少年も中学で柔道をやり、特待生として都内の私立大学付属高校の柔道部に入ったものの、先輩のいじめを受けて退部した経歴を持っています。
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柔道が教育にふさわしいかどうか、再考してもらいたいものです。
プロレス界の問題
ZERO1を率いるプロレスラーの大谷晋二郎は、数年にわたり、いじめ撲滅を目指して講演活動を行っています。その戦いぶりは熱血そのもので、勇気をもらう少年も少なくありません。
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しかし、プロレス業界はその母体となった角界の伝統を受け継いで「かわいがり」の習慣があり、新弟子は先輩たちからすさまじいいじめを受けるのがならわしです。1989年には、UWFの練習生が2人立て続けに倒れ、1人が亡くなるという事件がありました。この事件はフロントや選手の間で責任のなすりつけ合いを招き、後の崩壊・分裂の一因ともなっています。
1995年には、新日本プロレスの練習生だった権瓶広光が脳挫傷で死亡し、2003年にはWJプロレスの道場で練習中だったジャイアント落合が硬膜下血腫で死亡しています。前者は佐々木健介、後者は鈴木健想が「犯人」と囁かれましたが、真相は藪の中です。ちなみにぼくはジャイアント落合と柔道の試合で対戦したことがありますが、彼の実力からいって「受け身の練習で頭を打つ」ことなんてありえないと思います。
人気レスラーの獣神サンダー・ライガーや、奇人で有名な船木誠勝も、狂気じみた新弟子イジメで知られています。スパーリングで絞め落とした新弟子を満水の浴槽に沈めてふたをしたりとか、浅井嘉浩(後のウルティモ・ドラゴン)を全裸にして外で走らせたり、いくつもの伝説が伝わっています。船木の場合は、パンクラス時代に、趣味のアクション映画撮影で後輩を転落死させた疑惑すらあります。橋本真也も、虫嫌いの小島聡の部屋にセミの大群を放ったり、エアガンで撃ち落としたスズメを焼いて天山広吉に食べさせたりといった奇行が有名です。武藤敬司や蝶野正洋は「あの3人に辞めさせられた有望な新人は2桁くらいいる」「あいつらの後輩でなくてよかった」と証言していますし、ライガーは「みんな船木がやったことで、俺はついていっただけだよ」と責任転嫁しています。
近年はプロレスラーの人格的な質の低下が著しく、2011年には全日本プロレスの試合会場控室で、TARUがスーパー・ヘイトに暴行を加え、意識不明の重体となる事件が発生しています。後輩であるTARUが先輩にこうした態度をとった背後には、黒い人間関係もあったと噂されました。
NOSAWA論外は、2010年には飲み過ぎで試合を無断欠勤して全日本プロレスをクビになり、2011年には泥酔してタクシーを無免許運転する事件を起こして新日本プロレスをクビになるなど素行の悪いレスラーとして有名でしたが、今年の5月、女子レスラーの紫雷イオとともに、メキシコから大麻を密輸しようとした容疑で逮捕されました。
多くのファンが「そこまで堕ちたか」と嘆息しましたが、しかし本人たちは「身に覚えがない」と容疑を否認し、処分保留で釈放されます。そして7月には、NOSAWAと不仲だった、メキシコを主戦場にするレスラーの杉卓也が「NOSAWAを陥れるために荷物の中に大麻を仕込んだ」と自白会見を行い、無実が証明されました。しかし、結果としてプロレス業界のドロドロと悪意に満ちた部分をさらけ出したことになり、業界全体のイメージダウンは大きいです。まだNOSAWAが本当に大麻をやっていたほうがましなぐらいでした。
プロレスが教育にふさわしいかどうか、再考してもらいたいものです。