ノックアウトinゼビオ

今日は仙台市長町にあるゼビオアリーナで行われた、ボクシングW世界タイトルマッチを観戦してきたッス。


WBC世界フライ級タイトルマッチ 五十嵐俊幸vsネストール・ナルバエス
WBC世界バンタム級タイトルマッチ 山中慎介vsトマス・ロハス



JR東北本線、長町駅(仙台駅から一駅)を降りると会場はすぐ目の前。すばらしい立地です。


WOWOWから届いた当選メールを受け付けで見せて、会場に入ると内装は体育館というよりライブハウスに近い感じです。売店では応援グッズや飲食物を売っていて、かなりの混雑でした。


アリーナへ入るとまたびっくり。

何ここラスベガス?
中央には4面モニターが吊り下げられ、アリーナをぐるりとオーロラビジョンが取り囲む豪華な会場設備です。こんな会場、日本じゃほかに見たことないよ!


WOWOWの懸賞で当たった席は、2階席の最前列という最高の立地でした。

目の前にリングがある!
この会場は非常に見やすいのが特徴で、2階席の最後部から見てもリングがとてもよく見えました。1階席と2階席は、普通の体育館のように構造的に隔てられておらず、1階席がすでにひな壇になっており、フェンスを隔てて後ろから2階席になる、という独特の作りになっています。


リングアナウンサーは、エキサイトマッチでもおなじみのジミー・レノンJr.です。今回は震災復興チャリティマッチとあって、
「ニホンノミナサマ、コニチハー。ガンバロー、トーホク、ガンバロー、ニッポン!」という日本語メッセージも飛び出すサービスぶりでした。


んで、肝心の試合はといいますと。


今回が初防衛となる五十嵐は、動きにやや硬さの見られるナルバエスをフットワークとハンドスピードで圧倒するものの、決め手を欠いたまま最終ラウンドまで。オーソドックスのナルバエスとサウスポーの五十嵐というケンカ四つの組み合わせでもあり、お互いにやりにくそうです。それでも序盤からコツコツとパンチを当てていた五十嵐がリードしますが、終盤になると挑戦者が捨て身の反撃に出てポイントを巻き返しに来たため、判定は113-113、112-114、112-114という僅差で五十嵐の勝ち。11ラウンドにはバッティングによりナルバエスに減点がありましたが、それがなければ厳しいところでした。試合終了後にはお互いに健闘をたたえ合い、敗れたナルバエスもリング四方に向かって深々とお辞儀をしてから去るなど、さわやかなスポーツマンシップが輝いていました。



そして、山中の2度目の防衛線。


前回の試合では世界的ビッグネームのビック・ダルチニヤンと対戦し、ダルチニヤンの強打を警戒しつつ慎重な攻めでポイントを取っての大差判定勝ちをおさめた山中。今回の相手は、元スーパーフライ級王者で、日本でも河野公平名城信男を破っている日本人キラーのトマス・ロハスロハスとは名ばかりの攻撃的な男です。


試合が始まると、ロハスは両手を広げ気味に構えた独特のスタイルから、スイングの大きなパンチを繰り出します。それほど大きくない体格ながら、見た目より広い制空権を持ち、山中もうかつに近寄れません。無理に突破しようとして体勢を崩し、かなり痛そうなバッティングがあったり、足が絡まって転びそうになるなど、序盤はややガチャガチャした立ち上がりでした。山中は左ストレートと右フック、ロハスは左のフックとドラゴンフィッシュ・ブロー(オーバーハンド・ブローを『はじめの一歩』世代はこう呼ぶ)を軸にしてパンチを組み立てていましたが、徐々にタイミングが合ってくると次第に山中が優勢になります。
6ラウンドには、山中の強烈な左ストレートでロハスがガクッと腰を落としダウン寸前になりますが、深追いはせずじっくりとチャンスをうかがう山中。そして7ラウンド、狙い澄ましたワンツーパンチをロハスの顔面にヒットさせ、ふらつきながらも打ち返してきたロハスの右に強烈なクロスカウンターを合わせました。山中の左が完全にアゴを撃ち抜き、ロハスは白目をむきながら前のめりにダウン。その瞬間に会場は総立ち。今年の年間最高KO賞は間違いなしの、身の毛もよだつような凄まじいノックアウトでした。ロハスは完全に意識を失い、リングに担架が持ち込まれましたが数分後に意識を取り戻し、起き上がって勝者を祝福していたので一安心しました。でもあそこは無理させずに寝かせておくべきだったと思うなぁ。


帝拳プロモーションは、ここ最近の試合で西岡利晃粟生隆寛が連敗を喫し、世界王者を2人続けて失っていましたが、今日の試合は2人とも勝利をおさめ、とくに山中は内容的にも文句なしの豪快なKO勝ち。長谷川穂積が再起に苦戦し、西岡が敗戦し引退を表明した今、山中が日本ボクシング界のエースに躍り出たといってもいいでしょう。


帝拳の本田会長によれば、山中の次戦はIBF王者のレオ・サンタクルスとの試合を検討中だとのことで、さらなるビッグマッチが期待されます。


惜しむらくは、最近の帝拳プロモーションの試合はWOWOWでしか放送されないことが多く、これだけのクオリティの試合がお茶の間になかなか届かないことですね。
来月にはTBSが、山中と同じバンタム級の世界王者を名乗るお笑い芸人のネタ舞台を、「世界統一戦」と称して放送する予定になっています。


http://www.tbs.co.jp/sports/boxing/match20121204/


この舞台に上がる、WBAバンタム級暫定王者ウーゴ・ルイスというメキシコの選手は、32戦31勝(28KO)1敗という戦績を誇っていますが、BoxRecで詳しい戦績を見てみると、最近でこそ強そうな相手と戦っているものの、以前の対戦相手は0勝23敗の選手だの1勝37敗の選手だのばっかりで(とくにラウル・ルイスという選手はよほど気に入ったらしく、2回もやっていずれもKOしている。ラウルはその後も連敗記録を伸ばし、今は0勝32敗29KO負けという凄惨な記録を持っている。こんな選手が引退勧告もされずにリングに上がり続けられるあたりが、ボクシング王国メキシコの底の深さ!)なんとなくカメ兄弟とは気が合いそうですね。作られたチャンピオン同士で。


亀田製菓 ハッピーターン 120g×12袋

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亀の話題はともかく、今日の試合はよかったなぁ。山中の素晴らしいパンチもさることながら、会場の設備がまた最高でした。バスケにはまったく興味ないのに、ゼビオアリーナに入りたいだけでbjリーグの試合に行きたくなったぐらいです。あそこでプロレス観たらイイだろうなぁ。来年のG1クライマックスはゼビオでやんねえかなあ。