恐怖! 機動ビグ・ザム

山形国際ドキュメンタリー映画祭で上映された『サンダ対ガイラ』を観て、ガイラ役で出演している有名スーツアクター中島春雄さんのトークショーも見てきたッス。

サンダ対ガイラ No.1 ガイラ (1/48スケール塗装済みソフビ)

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今回の上映は、鶴岡市出身である本多猪四郎監督作品特集の一つ。実は中島さんも酒田市出身という、山形県つながりがありました。でも当時はそういうプライベートの話はいっさいせず、円谷英二福島県出身だということもご存じなかったそうです。
円谷英二 日本映画界に残した遺産

円谷英二 日本映画界に残した遺産

東宝はとくにうるさい監督ばかりで、黒澤明なんかはすごかったそうですが、本多監督はすぐOKを出してくれるのでやりやすかった、とのこと。


そのかわり、円谷特技監督の特撮班が撮影してるところにドラマ班(中島さんは「本編」と表現する)の本多監督がやってきて「ちょっとハルちゃんを借りるぜ」と自衛官とか新聞記者とかの役でワンカット撮り、また特撮班で撮影することがたびたびあったので、それはそれで大変だったそうです。ドラマ班がロケに行ってるときは楽だったとのことですが、いずれにしても今の現場では考えられないことですね。


中島さんのお話は、年長者の特権をフルに生かしたフリーダムなもので、司会者の質問を「ちょっとなに言ってるのかわからないね」とサンドウィッチマンみたいな言葉で流してみたり、「最近の怪獣映画、『ガメラ』なんかはご覧になりますか」という、平成ガメラについての質問に「大映の『ガメラ』はね、東宝のスタッフがナイショクで撮ってたんですよ」と昭和ガメラの話で返してみたりするのでちょっとハラハラするところもありました。


場内には、金子修介監督もいたんですけどね。


ほかにも、『キングコング対ゴジラ』で共演した広瀬正一さんのことを、「本多センセイはね、ソロモンさん(広瀬さんは太平洋戦争ソロモン海戦の生き残りである)のことを『アイツは(着ぐるみを)着ないとコングなんだけど、着るとコングじゃなくなるんだよなぁ』って言ってたもんですよ」とおっしゃっていたのも、なかなかグッとくるものがありました。

キングコング対ゴジラ [DVD]

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当時の特撮には殺陣の専門家がおらず、スーツアクターが脚本を自分なりに理解して演技プランを立てていた、というあたりのエピソードも合わせて味わい深い。