うかつあやまりしぐさ

埼玉から届いたこのニュース。

マンガ塙保己一―目で聞き、耳で読んだ

マンガ塙保己一―目で聞き、耳で読んだ

全盲の少女、蹴られけが 朝のJR川越駅前:朝日新聞デジタル 全盲の少女、蹴られけが 朝のJR川越駅前:朝日新聞デジタル

 埼玉県立特別支援学校に通う全盲の女子生徒がJR川越駅(同県川越市)前のコンコースで登校中、杖がぶつかった相手とみられる人物から右足を蹴られたと学校に届けた。学校が9日、明らかにした。女子生徒は打撲したといい、近く家族が警察に被害届を出す。

 女子生徒が通う塙保己一はなわほきいち)学園(同市、荒井宏昌校長)によると、女子生徒は8日午前7時50分ごろ、改札口を出て白い杖を頼りに点字ブロックの上を歩いていた際、前方から近づいた人と杖がぶつかった。相手が転倒する気配を感じた直後、その人物とみられる足音が近づき、右ひざの裏を硬い靴で蹴られた。

 近くにいた年配とみられる男性がその人物に向かって「あんた何やってんだ」と怒鳴る声が聞こえたが、その人物は無言で立ち去ったという。

なんとも嫌な話ですが、このニュースに対して「女子生徒サイドにも問題がある」とか言っちゃう人も、世の中にはいるようです。
「全盲なら乗るなよ」「相当イラつくのは確か」川越線での全盲女子負傷 加害者への同調がツイッターで続出 - NAVER まとめ 「全盲なら乗るなよ」「相当イラつくのは確か」川越線での全盲女子負傷 加害者への同調がツイッターで続出 - NAVER まとめ
(もっと極端なところをサーチすれば、「チョゴリ切り裂き事件が自作自演とバレた反日勢力による新手の日本貶め工作」などと、大真面目に言ってるバカも存在はしているが、さすがに取り上げるほどの価値はないであろう)


ここでまとめられているつぶやきも、極端な発言を煮詰めているだけではあるんでしょうけど、それにしてもひどいですね。


女子生徒が腕時計をしている、という点だけで佐村河内守みたいな疑惑をかけたり(視覚障害者用の手で触る腕時計がちゃんとある)、「杖に人がぶつかったなら謝れ」などと説教したり。
この人たちは、視覚障害者の白杖ってのが何に使うものなのか、わかってるのかね。


白杖は別に「わたしは視覚障害者です」とアピールするためのアイテムじゃなくて、進行方向に障害物がないか、足下に段差や穴がないか、確認するためのものだってことは、常識でしょう。言ってみたら感覚器官の一種ですよ。ぶつかったら謝れ、とか言うけど、そもそも何かにぶつけるための道具だよ!
よけるのは目が見える側の責任であって、健常者が白杖にぶつかったんなら、転ぼうがどうしようが、ぶつかったほうが加害者です。謝るべきなのはぶつかったほうの人間ですよ。


被害者の側に「先に謝れ」ってのは、江戸しぐさでいう「うかつあやまり」ってやつですね。


http://www.edoshigusa.org/column/vol16/

電車がぐらりと揺れた。
あっと思ったときはもう遅い。
靴を思いっきり踏まれてしまった。
イメージさて、あなたならどうする?
相手を見据えて「イテテッ!痛いじゃないか。気をつけろ」
それとも
優雅に「とんだところへ足を出していて失礼」
本音を言えば、優雅にいきたいところだが、
なかなか難しい。言葉に迷う。
ところが、
江戸では踏まれても先に謝れといった。
「うかつあやまり」
という。
「けんか腰になって、トラブルを起こしたくない」
という意味もある。
それに加えて
「自分がうかうかしていたから足を踏まれた」
と危機管理ができていない自戒の意味があった。
自分が悪くないのになぜ謝るのか?
今の子供や若者はたいがい反論してくる。
そんなときは、ぜひ教えてあげたいものだ。
足を踏まれたとき、外国では
「私の足が大きくてごめんなさい」
というセリフがあるそうだ。
ここにも大人の知恵がある。

江戸に電車はないし、火事と喧嘩は江戸の花だったんじゃないのか、などなど即座にツッコミが湧いてきますが、これを実践しちゃう(というか他人に強要する)人が少なからず存在するようなので、江戸しぐさを推進する越川禮子あたりもさぞかし喜んでいることでしょう(ニッコリ