この劇画が(本当に)スゴい!

今日もお休みの予定だったんですけど、ちょっと気になる記事を見かけちゃいましてね。


このマンガがたぶんスゴい! - デイリーポータルZ:@nifty このマンガがたぶんスゴい! - デイリーポータルZ:@nifty

このマンガがすごい!
って
スゴいですよね。


その年に
話題だったマンガの中から、
マンガを読みまくっている全国のマンガ関係者により選ばれた
いま本当にスゴいマンガたち
ってことでね。


でもその一方、
いま現在はそんなふうにフィーチャーされてはいないけど、
たぶん実はスゴいマンガっていうのは
たくさんあるかと思いますので
今回は、


そんな
たぶんスゴいマンガ
TOP30を
紹介してしまいたいと思います!!

ヨシダプロというこのライター(漫画はジャンプが好きだそうな)は、こう銘打って、最近の漫画ファンにはなじみの薄いであろう古い劇画を紹介していくんですけど、このチョイスがまったく脈絡がないんだ。


まず、30位で紹介されるのがいきなり『野望の王国』。
http://portal.nifty.com/2013/11/17/a/img/pc/004.jpg

この記事の主旨は、内容を知らずにパッと見の第一印象だけで「これはスゴそう」と決めつけるというものなんですが、それにしたって『野望の王国』ぐらいは知ってるだろ。漫画の記事とか書いてる人だったらさあ。
でも、コレはまだいいんですよ。ここから紹介されていく漫画の画像が、やっつけ仕事すぎてもう。漫画の表紙より、背景に注目して見てください。
http://portal.nifty.com/2013/11/17/a/img/pc/010.jpg
http://portal.nifty.com/2013/11/17/a/img/pc/021.jpg
http://portal.nifty.com/2013/11/17/a/img/pc/043.jpg
コレ、古本屋の店内で商品をテキトーに撮ってるだけだろ。
野望の王国』の写真は机の上で撮ってるっぽいけど、その他はただ、その店にあったやつを写しただけ。これってマナーとしてどうなんですかね。まぁ「謝罪しろ」だの「記事を削除しろ」だのと目くじらを立てるほどではないけど。


あと、『野望の王国』以外にも、有名作品を「こんなん知らんわ」とバカにしてる態度が、気に食わんというか、ちょっとイタいというか。

●第26位! 「カラテ地獄変
http://portal.nifty.com/2013/11/17/a/img/pc/011.jpg
続いてのこちら
なんかタイトルは聞いたことがありますが
どんな地獄っぷりかまでは
存じあげないわけですが、
それにしても
http://portal.nifty.com/2013/11/17/a/img/pc/012.jpg
敵こわすぎ。


もはや
カラテの範疇を超えた敵
かと思われます。


これは
第一印象だけでも
言うまでもなく
たぶんスゴいマンガだと思います!

いや、「こわすぎ」の一言で済ませてるけど、これどう見てもアンドレ・ザ・ジャイアントがモデルでしょ。人物像が容易に想像できるじゃないの。

まぁ『カラテ地獄変』をバカにするのはオレをバカにするのと同じことなので、つい力が入ってしまいますが。『カラテ地獄変』終盤は、主人公の牙直人と師匠の大東徹源ら「大東空手」と、アメリカを席巻した「プロ空手」の抗争が描かれます。この漫画をはじめ、梶原一騎の劇画世界では空手こそ最強の格闘技なので、プロレスラーやプロボクサーならヘビー級相手でも難なく倒してきた牙直人も、同じ空手を使うプロ空手の猛者たちには苦戦します。そこで師匠から習った秘技「虎翔」(空中高くジャンプして真っ逆さまに急降下し、脳天に頭突きを食らわす)で、相手の目玉を

  。 。
 / / ポーン!
( Д )

と飛び出させて勝ち、プロ空手を壊滅させます。しかしそこで、この激闘によってすっかり客を奪われたプロレス界が、最強の刺客オーレ・ザ・ジャイアントを差し向け、大東空手の総帥たる大東徹源と対戦させます。これがこの漫画のラストバトルです。
中盤の話では、対戦相手を何人も殺してプロレス界を追放された怪物レスラー「2噸ガレント」を破っているのに、今度は表のプロレス界における一流レスラーがラスボスとして登場してくる、というのはやや展開的にバランスを欠いている気がしないでもないですが、まぁそれもアンドレの人徳と受け止めましょう。
んで、大山倍達をモデルにした徹源と、アンドレをモデルにしたオーレが闘うという異次元対決は、徹源がジャイアントの耳をそぎ落すという卑劣効果的な巨漢対策で勝利するのでありました。近年では、2010年の大みそか桜庭和志の耳が取れかけたことがありましたが、まぁこの世界にはよくあることです。


それから、続いて紹介しているのが

●第25位! 「カラテ地獄変 ボデイガード牙」


http://portal.nifty.com/2013/11/17/a/img/pc/013.jpg

こんどは先ほどの
カラテ大作の続編
なのかと思いますが、


ボデイガード牙
とのことで
カラテから
ボディガードへと転職された
のかと思われますが
それにしても
http://portal.nifty.com/2013/11/17/a/img/pc/014.jpg
敵こわすぎ。


なんでしょうこれ


どんな世界なんでしょうかこれ
恐ろしい人
多すぎです。


多摩にはだいぶいないタイプ
だと言えるでしょう。


でもこちらもやはり
第一印象だけでも
言うまでもなく
たぶんスゴいマンガだと思います!

このキャラクターは「ザ・マップマン」というプロレスラーで、全身の傷跡が地図の国境線のように見えるというので「地図男」と呼ばれている人です。暗黙のルールを破ったレスラーに、リングで制裁を加えて再起不能にするのが本職です。ストレスがたまりそうな仕事です。「どんな世界なんでしょうかこれ」「恐ろしい人 多すぎです」とヨシダプロ氏は書いていますが、梶原一騎世界にはよくあることです。
ボディガード牙』は「武器を持った敵を素手で倒す」のが決まりなんですが、マップマンは全身の骨と歯を鋼鉄で補強したサイボーグっぽい怪物なので、世界観のルールは守られるのでありました。


んで、「先ほどのカラテ大作の続編」とも書いてますけど、これはこの単行本を出したサンケイ出版のミスリードにひっかかった結果ですね。

実は『カラテ地獄変』シリーズは、だんだん時代を遡るという特異な時系列を持っています。
最初に書かれたのが『ボディガード牙』で、次いで、ボディガード牙直人誕生秘話として、牙直人の出生から空手修行時代までを描く『カラテ地獄変』が発表され、最後に、牙直人の師匠である大東徹源の若き日を描いた『新カラテ地獄変』でシメとなるのであります。ゆでたまごもびっくりの、後付け設定でどんどん矛盾が生じていくダイナミズムが見どころです。
最初はこの順で位置づけられていたのですが、単行本の版が変わったときになぜか『カラテ地獄変』がシリーズ第1作とされ、『ボディガード牙』は『続カラテ地獄変』としてシリーズ第2作に位置付けられたのです。その後の版もこれに準じているので、混乱している人は少なくありませんが、詳しい人なら常識の範疇です。
『カラテ地獄変』初版の単行本1巻では、冒頭にボディガード牙直人の任務が描かれ、そこに彼の暗い過去を知る片腕の男がやってくるという導入部があるので、これを読んだ人ならすぐにわかるんですけどね。
(ちなみに、片腕の男はバイカー集団の一員として現れるんだけど、片腕でどうやってバイクを運転していたんだろう)



『カラテ地獄変』と『野望の王国』という、ワスの専門範囲にある漫画がぞんざいな扱いを受けているので、つい熱くなってしまいました。
他にも、荘司としおの『サイクル野郎』もコケにされているので、ファンならカチンとくるところでありましょう。「自転車少年が日本一周する漫画」程度の知識はあってもいいと思いますけどねぇ。



あと、司敬についても、ボクシング劇画『サムライ拳』を引き合いに出して

そんな漢を
描いている当先生、


他にはいったいどんな作品を
描いているのかと
気になっておりましたら、
http://portal.nifty.com/2013/11/17/a/img/pc/020.jpg
!!



やはり
漢を
描き続けているようでございました。


さすが
スゴい先生ですね。

と、明らかに小馬鹿にしたような扱いをしていますが、今は倉科遼名義で原作者となり、ネオンものを多数ヒットさせていることを知らないんですかね。

逆境を越えて

逆境を越えて

あの、ネタ漫画で有名な『夜王』も手がけたのに。


いくら自分が知らない作品だからといって、誰もが興味ないとは考えんほうがいいと思う、そんなワスなのでありました。ジャンプが好きなんだったらおとなしく『ニセコイ』でも読んでおれ。

ニセコイ 9 (ジャンプコミックス)

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