フルスペック人権
片山さつき・世耕弘成両議員の熱心な活動にも関わらず、河本準一がテレビから干される気配はさっぱり感じられない今日この頃。ネット愛国者の活動はすっかり滋賀県のいじめ事件へと移り、いじめの背後に韓国や被差別部落の影を見出して、ヘイトスピーチ活動にいそしんでいるようです。
http://u1sokuhou.ldblog.jp/archives/50374138.html
いわく、大津市内の別の中学校が韓国に修学旅行に行っている、だから韓国が悪い。
いわく、「人権を守る大津市民の会」構成団体の中に部落解放同盟の名がある、だから部落民が悪い。
これだけヘイトスピーチをダダ漏れにしておいて、同じ口で「日本に差別はない、人権教育を廃止しろ」なんて言ってるのだからお笑いグサもいいところです。
この事件で本当に恐ろしいのは、教育委員会と学校が、圧力をかけられるまでもなくいじめの隠蔽に執着するという構図なのに、無理やりどこかの知らない誰かのせいにして安心したがってる子たちにはわからないんでしょうかね。
んで、すっかりネットのトレンドから転落したかに見えた世耕議員ですが、「週刊東洋経済」誌上でこんなことを言っているようです。
http://www.toyokeizai.net/business/society/detail/AC/013a9a622a08439d5e048ae09e17b98f/
生活保護の給付水準下げ自立意欲高める、権利の制限は仕方ない――参議院議員・世耕弘成
生活保護費増加の問題の根源は、給付水準が高すぎるため、本来自立できる人が保護に頼るというモラルハザードが生じていることだ。その結果、国民の間にも不公平感が広がっている。
勤労者所得は直近の10年間で約15%減少しているが、生活保護費は0.7%しか見直されていない。自民党はこうした所得の減少や国民年金とのバランスを考慮し、給付の10%削減を提案している。
現金給付から現物給付への転換も必要だ。生活用品や住宅を現物で支給すれば、貧困ビジネスを抑制できるほか、受給者の自立へのインセンティブにもつながるだろう。
生活保護法改正案で前面に出したいのは、自立支援策だ。具体的には、保護期間に自立後の基金を作る「凍結貯蓄」の仕組みなどを導入することで、働いたほうが得だという明確な方向を打ち出したい。
勤労者所得が15%減少していることを問題視せず「生活保護が高すぎる」と言い出すのだから、何が問題なのかわかっていないか、わかっていてわざと話をそらしていることは明らかです。
何よりグロテスクなのは「フルスペックの人権」という語句ですね。人権にフルスペックだのミドルスペックだのがあるとは知らなかった。基本的人権というのは国民に等しく認められた権利であり、フルスペックなどという感覚そのものが異常です。ましてや、国会議員が勝手に制限していいものではありません。この人は、基本的人権というものを「支配階級がお情けで下々の者に認めてやっている」とでも思っているのでしょうか。憲法の精神もまったく理解できていないようです。さすがに世襲議員の感覚は違いますなぁ。
そもそも、現行の制度でも生活保護受給者はかなり権利を制限されています。自動車を持つことは基本的にできないし、パソコンやインターネット回線も使えません。ちょっと前まではテレビやエアコンも禁止されていました。相変わらず「生活保護でパチンコ」というのを大問題にしたがっていますが、問題になるのはなぜかいつもパチンコで、競馬や競輪はほとんど話題に上らないあたりにもレイシズムが透けて見えますね。
だいたい、「フルスペック」という語そのものが実はパチンコ用語なんですけど。
現代のパチンコ台は、大当たり確率400分の1〜351分の1を「フルスペック」、350分の1〜251分の1を「ミドルスペック」、250分の1〜201分の1を「ライトミドル」、200分の1〜100分の1を「ライトスペック」、99分の1以上を「甘デジ」と呼ぶ慣例があります。当然、大当たり確率が低いほど当たったときの出玉が大きくなります。
『牙狼』や『北斗の拳』が代表的なフルスペック(MAXスペックともいう)台で、『エヴァンゲリオン』はミドルスペックです。で、フルスペックやミドルスペックで出た台が、発売されてしばらく経つと、大当たり確率と出玉を変更したライトミドルや甘デジで再リリースされるのが、現代のパチンコ台の慣例です。
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ところで、滋賀のいじめ事件では色んな人が持論をぶっていますが、この人まで参戦してきました。
http://workingnews.blog117.fc2.com/blog-entry-5200.html