愛は果てしなきバイオレンス

ニコニコ動画ではときどきアニメの無料配信をしますが、今度は意外な作品が配信されています。


http://ch.nicovideo.jp/channel/tekkamanbrade


1992年に放送された、タツノコプロの変身ヒーローアニメ『宇宙の騎士テッカマンブレード』が無料配信!

宇宙の騎士テッカマンブレードDVD-BOX(初回限定生産版)

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放送20周年を記念してのことなんでしょうけど、よくアレを放送する気になったなぁ。


テッカマンブレード』はひたすら悲惨で救いのないストーリーが特徴で、『魔法少女まどか☆マギカ』だってアレに比べればほのぼのアニメですよ。
主人公のテッカマンブレードことDボゥイは宇宙生物ラダムに寄生されて超人的な力を持つ(デビルマンみたいなものである)ものの、同じように寄生されてラダムに支配された家族や親しい知人たちと殺し合う宿命を課せられます。


その戦いによって、唯一人間の心を残していた妹のテッカマンレイピアも殺されてしまい、Dボゥイ自身も変身の後遺症でパンチドランカーになり、徐々に記憶を失っていくというスーパー鬱アニメでした。
特に後半の展開は壮絶で、死んだ仲間の奥さんが訪ねてきて「あの人の最期がどうだったか教えてほしい」というのですが、もうそんな仲間がいたこと自体が思い出せなくなっており、いたたまれなくなってその場を走り去るあたりは、見ているこっちがいたたまれなくなるほどでした。


主題歌もまた壮絶で、ヘヴィ・メタリックな演奏に載せて超ネガティブな歌詞をシャウトするのが印象的でした。



(↑一目で大張正巳が描いたとわかるOPとED)


「愛は果てしなきバイオレンス」とか「これ以上失うものなどもうないから」とか「優しさ忘れて心を閉ざし 痛みと憎しみ降り注ぐ日々」とか、今のアニメでは考えられないようなフレーズですね。
ちなみに本編の作画はクオリティが一定せず、とくに隊長はOPとは全く別人にしか見えません。また、Dボゥイと双子の兄弟で設定上は瓜二つのはずのテッカマンエビル(劇中でもそう扱われている)が、実際の作画ではまったく似ていないという瑕疵もあるのですが、細かいことは気にしないように。



本編のもう一つの見どころが、主人公の放つ必殺技「ボルテッカ」です。

これは、リメイク元である『宇宙の騎士テッカマン』でも使われていたものですが、『ブレード』でも切り札として登場。放つときは、当初は普通に「ボルテッカ!」と言っていたのが、ストーリーが進むうちにだんだん「ボルテッカァアア!」と強烈なシャウトになっていきました。後半になってテッカマンブレードがブラスターテッカマンに進化するとさらに破壊力がアップし、まだ発射してないのに気合だけで周りの雑魚が爆発するほどです。敵役のテッカマンランスが言う「この至近距離からのボルテッカではひとたまりも……なにっ?」は死亡フラグの代表例として語り継がれています。
主役の森川智之はこれがアニメ初主演で、気合が入りすぎてボルテッカの声だけでマイクを2本破壊したというエピソードも現在まで伝わっています。


その後、テッカマンボルテッカがあまりに強いため、ロボットじゃない変身ヒーローなのになぜか『スーパーロボット大戦』に参戦したことはよく知られています。

スーパーロボット大戦J

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ニコニコチャンネル『宇宙の騎士テッカマンブレード』は毎週火曜更新、5話ずつ配信! 忘れずにチェックしよう!