寒ぶりを愛する男

昨年末から今年のはじめにかけて、日本全国で児童養護施設への匿名の寄付が相次いだ「タイガーマスク運動」は恒例の行事になりつつあるのか、富山県ではこんなケースがあったそうです。


http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20111217-OYT1T00307.htm

「寒ぶり愛する男」、養護施設にとれたて贈る

44人の子供たちが生活する富山県高岡市児童養護施設「高岡愛育園」に15日、30歳代とみられる男性が訪れ、寒ブリ2本を置いて立ち去った。


 高級魚として名高い富山・氷見漁港産で、1本3万〜4万円。子供たちは思わぬプレゼントに大喜び。刺し身や焼き魚にして味わった。箱には「寒ぶりを愛する男より」との手紙が入っていた。


 高橋源吾園長によると、男性が現れたのは15日午前9時頃。ワンボックスカーで乗り付け、玄関の前に青い発泡スチロールの箱2個を置いた。事務室にいた女性職員に気づくと手を上げ、何も言わずに去っていったという。


 箱には、氷見漁協のお墨付きであるブランド名「ひみ寒ぶり」の文字が記され、10キロと8キロのブリが入っていた。「今日とれた寒ぶりです。皆様で食べてください。寒ぶりを愛する男より」と書かれたB5判の手紙と、「魚屋でさばいてもらってください」と1万円入りの封筒も添えられていた。子供たちは興奮し、「こんな大きなお魚を見たのは初めて」と目を輝かせたという。


(2011年12月17日11時09分 読売新聞)

調理代まで同封するあたり、配慮が行き届いてますね。きっとこの「寒ぶりを愛する男」は魚のプロに違いない。


今年の寒ぶりは例年にない豊漁で、富山の漁港は大賑わいだそうです。そんな活気を子どもたちにも届けたかったのでしょう。なんとも味わい深いニュースでありました。


また、三重県ではこんな活動もあるそうで。


http://www.isenp.co.jp/news/20111217/news04.htm

菰野町社協 独居高齢者宅にのし餅 500戸、民生委員ら届ける

三重郡菰野町社会福祉協議会(小林周平会長)は十六日、町民生・児童委員協議会と連携し、町内の七十歳以上の独り暮らし高齢者宅約五百戸に、「良いお年を」のメッセージを添えたのし餅を配布した。


 歳末助け合い運動の一環として、手作りの餅で新年を迎えてもらおうと、昭和六十二年から恒例事業として続けており、今回で二十五回目。


 同民児協高齢者福祉部会の諸岡忠光部長ら二十人が、十三日にもち米二百キロをかして準備。十五日に餅つき器四台でつき上げてのし餅に成形し、一晩置いた十六日朝から餅を切り分け、民生委員七十人が各担当地区のお年寄り宅に届けた。


 「喉に詰まらせないように食べてください」と、担当民生委員の小林博之さん(70)から、のし餅を受け取った同町潤田の天野美代子さん(76)は「おいしいお餅を楽しみに待っていました。毎年ありがたいことです」と、笑顔で話していた。

まぁお餅は縁起物ではあるんですけど、民生委員が独居老人に餅を届けるというのは、裏の意図があるのではないかと勘ぐらざるを得ないというか。「喉に詰まらせないように」とわざわざ言い添えるあたりがまた味わい深い。日本人の善意も、まだまだ捨てたものではありませんな。